2013年台風ヨランダ高潮
災害概要
2013年11月初旬に太平洋で発生したYolanda（英語名・HAIYAN，日本名・台風30号）は，11月8日（現地時間）に最低中心気圧895hPaという非常に強い勢力を保ったまま，フィリピン・レイテ島に上陸しました．上陸に伴い，11月8日にレイテ島・サマール島・セブ島北部において高潮災害が発生しました．
フィリピン高潮災害の現地調査を2013年12月に実施しました．調査結果は2013年フィリピン高潮合同調査隊Webサイトに掲載しています．[link]
高潮シミュレーション速報
当研究室では，高潮モデルOSIS（Ohira-Shibayama Integrated Storm surge model）を用いて，Yolandaによる高潮のシミュレーションを行っています．速報なので今後の内容訂正も起こり得ますが，一刻も早い被害傾向分析と将来的な減災への活用の為，新しい成果が得られしだい随時更新を行っていきます．
- 甚大な被害が報告されているレイテ島の中心都市・タクロバン（Tacloban）付近では，2.9mの高潮偏差が見られました.
- タクロバンなどレイテ湾北部の沿岸では，台風接近→上陸→離脱の過程で，風向が北寄り→南寄りに変化し，吹き寄せ効果の影響で引き潮時と高潮時で最大5m程度の潮位の変化を得ました．この高低差による段波発生の可能性も考慮し，今後の研究を行っていきます．
- Yolandaによる高潮シミュレーション（速報）ver.2
- Yolandaによる高潮シミュレーション（速報）
- 再現台風（速報）［mpegファイル］
- 再現高潮（速報）［mpegファイル］
- 再現高潮3D表示（速報）［mpegファイル］
関連文献
- Esteban, M., Valenzuela, V. P. Yun, N. Y., Mikami, T., Shibayama, T., Matsumaru, R., Takagi, H., Thao, N. D., De Leon, M., Oyama, T. & Nakamura, R. (2015): Typhoon Haiyan 2013 Evacuation Preparations and Awareness, International Journal of Sustainable Future for Human Security, 3(1), 37-45. [J-SustaiN]
- Takagi, H., Esteban, M., Shibayama, T., Mikami, T., Matsumaru, R., Leon, M. D., Thao, N. D., Oyama, T. & Nakamura, R. (2015): Track analysis, simulation, and field survey of the 2013 Typhoon Haiyan storm surge, Journal of Flood Risk Management, in press. [doi:10.1111/jfr3.12136]
- 中村亮太・大山剛弘・柴山知也・松丸亮・高木泰士・Miguel Esteban・三上貴仁（2014）：Typhoon Yolandaによるフィリピンの高潮被災と現地調査の比較，土木学会論文集B2（海岸工学）B2，Vol.70，No.2, I_236-I_240．[doi:10.2208/kaigan.70.I_236]
- 高木泰士・三上貴仁・柴山知也・松丸 亮・Mario P. de Leon・Esteban Miguel・Nguyen Danh Thao・中村亮太（2014）：2013年台風Yolanda（Haiyan）の統計的分析および高潮の調査と数値解析，土木学会論文集B3（海洋開発）B3，Vol.70，No.2，I_1206-I_1211．[doi:10.2208/jscejoe.70.I_1206]
- 柴山知也・松丸 亮・高木泰士・Mario P. de Leon・Esteban Miguel・三上貴仁・大山剛弘・中村亮太（2014）：2013年台風Yolanda（Haiyan）による高潮災害の調査と分析，土木学会論文集B3（海洋開発）B3，Vol.70，No.2，I_1206-I_1211．[doi:10.2208/jscejoe.70.I_1212]
- Esteban Miguel・松丸 亮・高木泰士・三上貴仁・柴山知也・Mario P. de Leon・Ven Paolo Valenzuela・Nguyen Danh Thao（2014）：2013年台風Yolanda（Haiyan）時の災害情報の伝達と住民の避難行動に関する分析，土木学会論文集B3（海洋開発）B3，Vol.70，No.2，I_1218-I_1223．[doi:10.2208/jscejoe.70.I_1218]